2012年開催目録

開催日 演 題 発表者 所 属

爬虫類や両生類は注意していないと目につきにくい反面、見かけたときは強烈なインパクトとして記憶に残ります。しかし、意外に身近なところに住んでおり、皆さんが鳥を観察しているそばでもひっそりと活動している動物です。爬虫類や両生類も鳥の観察の傍らで楽しめるように、北海道に住む爬虫類や両生類を紹介します。

エゾシカはどんな動物か?をはじめ、エゾシカとヒトの歴史、昨今の爆発的な増加に伴う農林業や自然植生に対するインパクト、そして個体数調整と資源利用の必要性など、北海道が今すぐに取り組まねばならない基本的な方向を分かりやすく解説します。

昭和9年に創設された日本野鳥の会。78年経った今、その時代に立ち返り、「誰が、どんな思いで、どんな願いを込めて創ったのか」、「どんな人たちが参加していたのか」、「その時、時代と鳥の関係はどうだったのか」、「日本初の探鳥会の実態とは!?」など。当時の資料により忠実に再現することによって驚きの事実が明らかになります。

「オオタカにストレスを与えず、且つオオタカの繁殖段階がわかってしまうような調査方法ってないものだろうか?」営巣中のオオタカは非常に神経質になっているので、人間の“見る”という行為は、オオタカにとって大きなストレスになります。オオタカの“鳴き声”に着目してこの疑問の答えを探しています。ここではまだ途中ですが、現段階まででわかったことや体験したことを紹介します。

石狩川周辺ではいつもどこかで工事が行われていて、環境は毎年大きく変わっています。そんな中で、河川敷などで繁殖する鳥たち、旅の途中に立ち寄っていく鳥たちなど、最近はどんな鳥が見られているでしょうか。今回は、思いの外見かけることの多いチュウヒの生活を、断片的ですが少し分かったことなどを紹介します。また、オマケとしてシギ・ チドリやワシタカなどの写真もお見せできればと思っています。

300 06.16 鳥の渡りと生物多様性の保全(第300回記念講演会) 樋口広芳 慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科

これまでに海外探鳥旅行を68回企画実施しています。その中でマレイシアの探鳥旅行は22回と最も多く、それほどに魅力的なところです。探鳥地の環境も素晴らしく、野鳥のみならず植物、昆虫類・脊椎動物など、多様ないきものが身近に観察できる国は極めて少ないといえましょう。今回は、そのマレイシアの魅力的な野鳥のほかに、ツアーに参加者された方々の撮られた動植物の写真をビデオにしてご紹介致します。

サシバは里山環境で繁殖密度が高く、近年個体数が減少している猛禽類です。繁殖地の保全に必要な知見を得るため、2000年から栃木県でサシバの採食行動、採食内容、そしてサシバの食物となるカエルやヘビ、昆虫の分布を調べてきました。その結果、サシバは里山の多様な環境をうまく利用し、食物の分布の変化に合わせて採食場所と採食内容を変えながら、多様な食物を得ていることが明らかになりました。今回はその概要をお話します。

日本海に浮かぶ天売島(留萌管内羽幌町)はウミガラスの繁殖地として有名ですが、ウトウの世界最大の繁殖地でもあります。今年6月、日没時に小魚をくわえてヒナの元へ帰巣するウトウを取材しました。空を埋めるウトウの群れ、降るように着地する親鳥、小魚をねらって集まるウミネコ~。生存をかけて繰り広げられる争いを写真と動画で再現します。併せて、ケイマフリ、ノゴマなどの野鳥の写真も紹介。島での鳥と島民の共存の工夫にも触れたいと思います。

2005-06年の冬季に北海道中央部でみられたスズメの激減や大量死については、さまざまな原因が推定されました。中でも「サルモネラが原因でないか」との考えは、その後いくつかの補強的事実が明らかにされ真の原因と考えてもよいようです。今回、2006年4月に旭川市で採取され、酪農学園大学野生動物医学センターに保管されていたスズメの死体の検査結果を紹介するとともに、畜産現場からみたスズメの激減の様相や世界的な視点からのスズメとサルモネラの関係などについてふれてみたいと思います。

宮島沼には、宮島沼とマガンを愛する正義のヒーロー 「自然戦隊マガレンジャー」がいます。彼らの活動はゴミ拾いからヒシの実採集に始まり、米粉料理研究やマガンの観察ガイドまで多岐に渡る。宮島沼での活動、道内・国内での活動、国際湿地交流への参加。地域の大人たちをも動かす力を秘めた、マガレンジャーの活動を紹介します。

北海道と本州地方では見られるタカ類にどのような差があるのでしょうか・・・。とくに繁殖期及び越冬期における地域差や個体差など、自ら歩いて調べ得た知られざるタカ類の生息・生態情報!?について写真を用いて紹介します。